クラッシュ
本年度アカデミー作品・脚本・編集賞を受賞した人間の本質を描いた群像劇で、監督・脚本はミリオンダラー・ベイビーの脚本も手がけたポール・ハギス。
毎日ニュースで見る痛ましい事件・・・それって誰もが持っている先入観や思い込み、そんな小さな気持ちのズレの連鎖により引き起こされるのではないか?
そんな私達が抱える問題を日常の視点から提起した作品。
人間は孤独で弱い存在で常にグループ(例えば人種・宗教・文化)に所属して安心していたい、そしてそのグループに所属しないものは異物として恐れ時に憎しみを抱いたりする。
ポール・ハギスはそんな孤独や恐れ、憎しみをフラットな視点で淡々と俯瞰する。ミリオンダラー・ベイビーでもそうだったが、人間の気持ちの動きや揺れを描くのがとても上手いと感じた。
また映画の舞台はその人種・宗教・文化の坩堝であるアメリカだが、この話はアメリカ特有の話ではなく我々日本人にとっても無関係なことではないと思った。
僕達も無意識うちになにかしらのグループに所属して生活している。それは学歴や会社、立場等だったりして、やはり様々な先入観や思い込みをもって人と接していると思う。
日本は銃社会じゃないので映画みたいに即悲惨な状況にはならないが、いじめ問題等思い当たる節がないといえば嘘だろう。
非常によく練られた脚本で見終わった後に深く考えさせられる映画でした。
★★★★★、見る価値アリです。
112分/カラー/アメリカ/2004年
監督: ポール・ハギス
脚本: ポール・ハギス/ボビー・モレスコ
出演: サンドラ・ブロック/ドン・チードル/マット・ディロン/ジェニファー・エスポジート/ウィリアム・フィクトナー/ブレンダン・フレイザー