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幸せのちから

幸せのちから

ウィル・スミスと実の息子の競演で話題となった、ホームレスから億万長者となり、アメリカンドリームを実現させた実在の人物、クリス・ガードナーの半生を基に描いた感動作。

かなり期待していたのですが、ちょっと肩すかしな内容でした。

なんか貧乏から這い上がる主人公のシチュエーションや行動に納得できない部分が多い。

父子愛のやり取りで目頭が熱くなる部分もあったが、利己的な主人公に最後まで感情移入することはできなかった。

同じ貧乏から成功を収める話でも、ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演のシンデレラマンには良心とリアリティがあった。

シンデレラマンと比べても仕方ないが、感動というより競争社会の厳しさやお金がないとなにもできないつらさばかりが目立ってしまいちょっと描き方がズレた作品だと思った。

まあ、現実はこんなもんなのかもしれませんが、ある程度映画には夢を期待したいオイラとしては、★☆☆☆☆。

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不都合な真実

不都合な真実

地球温暖化の問題に熱心に取り組んできた元アメリカ副大統領アル・ゴアのスライド講演の様子を、彼の生い立ちを交えつつ構成したドキュメンタリー映画。

まず感じたのは聞き手をどんどん引き込んでしまうゴア氏のプレゼンの上手さ。

さすが米大統領の座に手をかけただけの人物のスピーチ力は並ではない。日本語字幕でこの説得力なんだから、英語がわかる人はもっと引き込まれるんだろう。

ブッシュ大統領と大統領選を争っていた時は、話が面白くないとか叩かれていたような気がしたが、その現大統領の演説とは比べ物にならないくらい彼の巧みな話術は知的で明確だ。

ホント、あの時なんで敗れたのか不思議なくらいである。

映画では昨今地球に起こっている真実と将来予測される出来事を、冷静な検証データによって論理武装しながら分かりやすく説明していき、その原因は我々人間にあること、また解決できるのも我々であることを具体的に紹介していく。

また、今の現状や問題をあげて終わりではなく、改善していくには具体的に何を行えば良いかを提起しているところが面白く、オイラ的には分かりやすかった。

確かに今年の夏は超がつくくらい異常な暑さである。今日の暑さにもなにか原因があり、それはおそらく我々人類の仕業であろう。

この異常な状況に対して傍観するのも、行動するのも私達自身なのである。

今作はオイラのように地球温暖化についてよく知らない人には絶好の入門編となる観ておくべき映画だと思う。

たまには自分達が住んでいる星のことも考えよう環境問題への関心を感化されること請け合いで、★★★★☆。

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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズを映画化した第5弾。

まず、このシリーズは本を読んでいない人にとってはまったく面白くない(話が解らない)し、映画自体も受け手が原作を読んでいる前提で作っている。

つまり、本を読んでいるファンが原作の魔法社会という奇想天外な世界を映像化するとどうなるのかという事を楽しみにして観る作品なのだ。

そういう意味では、前作「炎のゴブレット」のクディッチ・ワールドカップや、今作の神秘部の映像等、このシリーズは本を読んでいる時の想像を裏切らない期待通りの映像化に成功していると思う。

もはや、原作を読む時は「ハリー=ラドクリフ君」を想像しながらになるくらい僕の中では定着している。

とはいえ、昨今の原作のページ数の増加、さらに話自体がもはやファンタジーとは呼べない次元になってきた事にともない、映画1本分の尺に収めるのは少々厳しくなっている感は否めなく、正直原作を読んでいる人にとっても解りにくい作品になってしまった。

また、基本的にキャスティングに大幅な変化がないこのシリーズは、どうしても見た目のマンネリ化が避けられず、ロン、ネビル、マルフォイなどはまったく地味な存在になってしまった。

そんな中で、今作のアクセントとして効いているのが、新しいキャラクターであるルーナ・ラブグッドとドローレス・アンブリッジの存在である。

特にルーナ役のイヴァナ・リンチはかなりキュートで、原作よりもかなり大きく扱われ、正直ハーマイオニーより目立っているくらいで、これは目新しさと画面映えを考慮した意図的なものだとうかがえる。

また、終盤のダンブルドアとヴォルデモート卿のの戦いなどは、原作にはないスターウォーズばりの大見せ場に仕立て上げ、ここでも映画としてのエンターテイメントを演出しようとする制作側の努力が感じられる。

今後は、原作の内容が終盤に向かい映像化しやすいファンタジーから、より細かい描写や演技を必要とするエモーショナルな人間ドラマに移行している中、次回作で重要人物になるマルフォイやジミーの扱い等、「賢者の石」を映画化した時点では、想定していなかった色々な歪みをいかにクリアしていくかがポイントになりそうだ。

ちなみに、評価は原作を読んでいる人は観て損はないというレベルで★★☆☆☆。

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パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド

カリビアン・シリーズの3作目。張りきって映画館に観に行ったところ・・・

う~ん、完結篇のお祭り気分からなのか登場人物が妙に増え、それに付随してエピソードもてんこ盛り状態で話がグチャグチャでなんだかよくわからないカオスな映画になってしまった。

キーラ・ナイトレイの存在感は絶頂に達し、もはや主役と言っても過言ではない活躍ぶりで、主役のはずのジョニー・デップは中途半端な立ち位置でいまいち元気がない。

とにかく登場人物が多すぎて、ジャック・スパロウというせっかくのキャラクターが埋もれてしまっているし、話題になっていたローリング・ストーンズのキース・リチャーズの出演も「まあ出てるだけ」といった印象だ。

ストーリーも長い映画の割に肝心な部分がちゃんと描かれてなく、エピソードは多いがまとまりがないという観ていてスッキリしない内容で消化不良ぎみ。

と、なんだかよくわからない映画だが、エンドロール後のオーランド・ブルームが大間のまぐろ漁師さながらに登場するシーンはかなり男前で必見なので、仮につまらなかったとしても最後まで席を立たないことをおすすめしときます。

評価は、1作、2作目と観たら観るしかないといった程度の映画ですが男前度は高いので★★☆☆☆。

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パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

ちまたは押しも押されぬカリビアン・ブーム。

あまり興味なかったのですが、これだけメディアで紹介されているのと先日1作目をテレビで鑑賞したこともあり、「こりゃ全部観なければ」という完全に宣伝の思惑通りな消費行動で、映画館で3作目を観る前にまずは2作目をTUTAYAで借りてきました。

まず注目なのは前作ではさほど目立たなかったキーラ・ナイトレイの存在感が5割り増しくらい大きくなっている点。ていうかもはやジョニー・デップとオーランド・ブルームを押しのけて主役級の活躍っぷりである。

「タイタニック」のケイト・ウィンスレット宜しく、本シリーズは間違いなく彼女の出世作になるだろう。

ちなみにそういう意味ではオーランド・ブルームも前作の頃は今ほどフィーバーしてなかった気もします。

ジョニー・デップは前作に引き続き奇妙でシニカルな役どころを上手く演じていて、その才能をいかんなく発揮している感じ。

まあ良くも悪くもこの3人の映画である。

あと、前作は続編を考えずに制作していたので話がちゃんと完結していたが、今作は3作目へのつなぎということもあり、話云々というよりアクション中心の娯楽性重視な内容で映画自体もかなり中途半端な形で終わる。

最近のシリーズ物ではありがちだが、個人的には映画なのだからせめて「インディー・ジョーンズ」や「スターウォーズ」シリーズ程度には話を完結して欲しいところだ。

とは言え、ここまできたら3作目を見ないわけにも行かず、近いうちに映画館に行かねばです。

評価は、今一番勢いのある俳優と言っても過言ではないジョニー・デップとオーランド・ブルームが競演していること自体がエンターテイメントということで、内容は関係なく★★★☆☆。

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ミュンヘン

ミュンヘン

現在も解決の糸口が見えないパレスチナ問題を1972年に実際に起こったミュンヘン・オリンピック事件を題材にして描いたスピルバーグによる社会派作品。

2時間半以上の長編かつこのような重たいテーマの作品を、“どうやって撮っているんだ”というようなカメラワークとテンポの良い展開で、あたかもスパイ・サスペンス映画を観ているかのように飽きさせず引き込んでいくあたりは流石。

主人公の孤独な心理や当時の社会情勢の描写も解りやすく、ラストでテロという報復のメカニズムが現在にもつながっていることを示唆しているあたりも隙のない演出だ。

どんなにテーマやメッセージ性があっても、やはり映画は面白くなければ観ている側はつらいだけだ。

今作品のように伝えたいことはしっかり伝えるが、あくまでエンターテイメントという絶妙なバランスで表現できるあたりにスピルバーグの凄味があると思う。

暗く重たい話だがこのような事件があったことを知っておくべきだと思うのと、映画としての娯楽性を無視していない部分が評価大で★★★★★。

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父親たちの星条旗

父親たちの星条旗

クリント・イーストウッドが描く「硫黄島からの手紙」と対になる作品。

映画館で観れなくてジリジリしていたがやっとこさレンタル開始されたので早速鑑賞。


硫黄島で取られた1枚の写真から国家、戦争、それら翻弄される人々を、俯瞰的な視線で丁寧に描いていて戦争映画というよりは人間ドラマに近い印象を持ちました。

話としてわかり易かった「硫黄島からの手紙」に比べ、今作は過去と現在の時系列に加え登場人物も多く、彼らの関係を把握しないと物語の全体像をつかみにくいが、「クラッシュ」を書いた脚本のポール・ハギスが、彼らしいよく計算された客観的な描写で見事にわかり易く描いている。

国家やイデオロギーという巨人の前では、人間の尊厳ましては個人なんて何の意味も持たない。それが戦争という非常時ならなおさらのことである。

疑問を持ちながらも英雄扱いされ大騒ぎされた3人の末路は、信じられないくらい平凡でうち2人はむしろ哀れな人生で終わってしまう。ようは彼らは国家に単なるビジネスの道具として祭り上げられただけなのだ。

皆が狂っている中、自分だけまともではいられない。国家や戦争という大きな流れに飲み込まれたら、個人ではどうすることもできないのだ。そういう非情な現実を突きつけられる映画でした。

ちなみに「硫黄島からの手紙」との関連性に関しては、それぞれの映画が伝えたいテーマは異なり、個人的には別々の映画としても観れると思いました。

が、当然多少は話のつながりがあるので、これから観る方は「星条旗」→「手紙」の順番で観ることをオススメします。

最後に評価ですが、脚本も素晴らしくよくできた映画だが、やはり戦争がテーマで万人受けではないので★★★★☆とします。

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フラガール

フラガール

昭和40年(1965年)、経営危機に追い込まれた福島県常磐炭鉱で働く人々が、起死回生の町おこし事業として立ち上げた「常磐ハワイアンセンター」(現スパリゾートハワイアンズ)の誕生から成功までの実話をフラダンスを軸に描いたサクセス・ストーリー。

話としては涙あり笑いありの王道な展開ですが、松雪泰子、蒼井優、岸部一徳始め、気合の入ったキャスト陣の演技が素晴らしく退屈させない。

特に借金取りに追われる松雪泰子のすっぴんでの演技などは、くたびれた感がよく出ていて迫力がありました。

また、町並み等の時代考証も違和感がなく当時の炭鉱の町の生活がイメージしやすいセット作りだったように思う。

あ、あとグループ魂通としては、石鹸こと三宅弘城が結構良い役をもらっていたことも見逃せません。

しかし、なんだかんだいって一番驚いたのは、今から40年前に炭鉱事業縮小の変わりに、掘削で出てきていた温泉水を使ったスパリゾート施設(しかもコンセプトがハワイ!)による観光事業にシフトしようと思いつき実行した人達がいたということ。

スゴイの一言。まさに「プロジェクトX」並のアイデアと実行力だと思います。

誰もが安心して見れる良質のストーリに熱の伝わるキャスト陣の演技、ただどこかで見たことがあるような良いとこ取りな展開でオリジナル性は感じられないので、★★★★☆。

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EVA 「オ」から「ヲ」へ再起動

エヴァンゲリヲン新劇場版

庵野秀明が生み出したSFアニメの大傑作が劇場版として再起動。

新たな登場人物&物語が用意される新作品はなんと全4部作になるらしく、まずは前編として1部が9月に公開される予定とのこと。

ちなみに庵野さんらしい煽りに煽ったティザーの特報映像が発表されていて。。。


エヴァンゲリヲン新劇場版特報映像


さらに「我々は再び、何を作ろうとしているのか?」と所信表明文まで発表してしまう念の入れようである。

まあ、どんな内容になるか皆目検討がつきませんが、元がストイックな作品なだけに商業的にだけはなって欲しくないものです。

あ、あと何故か「エヴァンゲリオン」から「エヴァンゲリヲン」に変更されている。これもこだわりか?

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かもめ食堂

かもめ食堂

フィンランドのヘルシンキを舞台に、のんびりゆったりメルヘンでファンタジーなお話。

別段、大きな動きもなくゆるーい展開でストーリは進んでいく。結末もあるようでなくツッコミどころはたくさんあるが、何故か見終わった後にはほのぼのとしたさわやかな気持ちになれる映画だ。

理屈や結論を求めてしまう頭の固いオイラは話の整合性等アレコレ考えてしまうが、そういう堅苦しいこと抜きで脱力して観ると楽しめる、なんか女性が好きそうな映画だと思いました。

個人的には小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという「濃い」3人の絡みが面白くて仕方ありませんでした。

特にただ突っ立っているだけで思わず「ぷっ」となってしまう、もたいまさこの存在感は何なんでしょう?いやぁ、すごい女優さんです。

休日にくつろいでみるのに最適な癒し系な映画です。★★★☆☆。

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DEATH NOTE デスノート The Last Name

DEATH NOTE デスノート The Last Name

でもって後編。

前編は月(ライト=藤原竜也)とL(エル=松山ケンイチ)の謎解き対決軸という感じで話が進んでいた中、後編より新たなデスノートを持つ弥海砂(戸田恵梨香)が登場して三つ巴な展開に・・・

と、思ったらそうでもなくて弥海は最初から月(ライト)側についてしまう。なんか話がややこしくなっただけでストーリの膨らみはまったくない。

前編の最初の「法で裁けない犯罪者」の話なぞはもはやどこにもなく、ただただ月(ライト)が逃げまわる話になってしまった。

結局、感情移入できるのは相手は死神付(しかも2人に増えた)というとても不公平な対決をあきらめずに戦ったL(エル)だけで、最後まで月(ライト)の人物像をつかむことができなかった。

前編の時も書いたが、月(ライト)が崩壊していく心理描写がまったくないので、結局彼はとんでもない悪人のまま話が終わってしまう。

また、そもそもデスノートとはなんぞや?という部分にも最後まで触れず、登場した2人の死神は一体なんだったのだろうか?という疑問にも答えてくれていない。うーん、釈然としません。

前編がなかなか面白かっただけに、この内容はとても残念で★ゼロと言いたいところですが、松山ケンイチの演技がステキすぎだったので、★☆☆☆☆。

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DEATH NOTE デスノート 前編

DEATH NOTE デスノート 前編

前編・後編をTUTAYAで借りてまとめて鑑賞。

というこで、まずは前編。

週間少年ジャンプで連載している人気コミックを実写映画化したもので、先日の「それでもボクは~」とは対照的に、主人公は不起訴になり法では裁けない犯罪者を死神のノートを使って裁いていく。

L(エル)扮する松山ケンイチ最高です。正直、主演の藤原竜也よりも存在感があったと思う。

僕は原作読んでませんが、Yahoo!の作品ユーザーレビュー等でもイメージにぴったりと絶賛なのでまさにハマリ役といったところだろう。

逆に藤原竜也の光に関しては、キャラクター説明が貧弱でいまいちその人間像を捕らえることができなかった。

これは役者が悪いというよりは脚本の問題。月(ライト)は、法で裁けない犯罪者を裁くという正義のもとにデスノートを使用し始めたはずなのに、自らに捜査の手が伸びるにつれて、ただ捕まらないようにする保身のためだけに一般人を躊躇なく犠牲にしていく。

まあ、それはそれでもいいんですが、だったら月(ライト)の大義が崩壊していく旨の心理描写が欲しかった。

話としては着想が面白いし、謎解きもまずまず練られていただけにチト残念でしたということで、★★★☆☆。

あ、あと我らが港カオル(皆川猿時)が捨て駒的なチョイ役で出演していたのはうれしい誤算でした。

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それでもボクはやってない

それでもボクはやってない

「Shall We ダンス?」の周防正行監督が、11年ぶりにメガホンを取り現代の日本における裁判の現実を突きつけた本格的な社会派ドラマ。

昨日の傍聴の流れで早速、観にいってきました。

裁判の様子等はとてもリアリティーがあり、日本の警察・司法制度への関心を喚起するという点でよくできている映画だと思いました。

内容は痴漢冤罪を扱ったショッキングなものですが、問題は裁判云々というよりも起訴されるまでの過程にあるような気がします。

起訴されたら99.9%有罪という数字は一見驚きですが、裏返せば検察は有罪になるだけの証拠が集まらなければ起訴しないということなのかもしれません。

有罪率が低いということは、それだけ無実の罪の人が起訴されるということですから、それはそれで問題だと思います。

捜査官による強引な捜査、それを鵜呑みにして起訴してしまう検察官等々...そのあたりがとても怖いと思いました。

ただし、劇中にある裁判の途中で裁判官が代わってしまうというのはチト疑問ではあります。

映画で荒川弁護士(役所広司)が説明するように「新しい裁判官は今までの法廷証言の様子を知らないままに、残された公判証書のみで心証を形成することになる」というのであれば、最初からやり直し、もしくは録画したVTR等で確認する等は必要な気がします。

また、主人公(加瀬亮)の境遇は気の毒で仕方ないですが、劇中のリアルに進められる裁判シーンだけを見たところでは、主人公が痴漢行為を行ったか行っていないかの判断はとても難しいと思いました。

ということは、仮に2009年より実施される裁判員制度でオイラが裁判員に任命されたとしても本件で有罪判決を出してしまうかも知れないということです。

やはり起訴するまでの過程のシステムを何とかするべきなのかも知れません。

本作品はエンターテイメントでもドキュメンタリーでもないが、この一見小難しく地味なテーマを絶妙のバランスで鑑賞者に飽きさせず問題提起をしている。

その周防監督の見事な手腕に脱帽で、★★★★☆。

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崖の上のポニョ

今日放送のNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に映画監督の宮崎駿が登場していて、来年夏に公開予定の次回作「崖の上のポニョ」の制作現場を密着取材していた。

「人間になりたい」と願う金魚姫のポニョと5歳の男の子、宗介の交流を描いた海を舞台にした物語になるんだそう。

なんか「ファインディング・ニモ」を連想してしまいますが、どんな作品になるのか今から楽しみです。

エターナル・サンシャイン

エターナル・サンシャイン

「ヒューマンネイチュア」で偉才を放ったミシェル・ゴンドリー監督の2作目、脚本は「ヒューマン~」でコンビを組んだチャーリー・カウフマン。

出演陣もジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルステン・ダンストとかなり豪華です。

「記憶の消去」を軸にした奇想天外・複雑怪奇なカウフマンらしいストーリーを、ミシェル・ゴンドリーがこれまた不思議な映像で描いた、ただの恋愛映画とはひと味もふた味も違う異色作。

冒頭は話の筋がわかりないので少し退屈な展開だが、話の核心にふれ始める中盤からはどんどん引き込まれていき、最後に「なるほど」と納得するという、なんか恋愛映画を観ているというより、SFサスペンスを観ているような感じででした。

今まで見たことがないようなジム・キャリーの抑えたキャラクターもかなり新鮮で、SFな話だからか、なんかキアヌ・リーヴスとかぶっていると思うくらい彼のイメージとかけ離れた演技でした。

SFで複雑なストーリーですが根本は男女の恋愛を描いた映画。普通の恋愛映画は、こそばゆいって人にはオススメで、★★★★☆。

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プロデューサーズ

プロデューサーズ

先日観た「THE 有頂天ホテル」に続き、舞台系の流れで鑑賞。

ゲイ、ナチ、サギとタブーのオンパレードなのに笑えてしまうアメリカン・ブラック・コメディ。


「有頂天~」と同じドタバタ喜劇だけど、話がシンプルでわかりやすい分こっちのほうがのめりこめた。

まあ、話の内容もキテるので、よく言えばウィットに富んだ、悪く言えば下品の一言で終わってしまう、好き嫌いがハッキリ分かれるちょっと玄人向けな作品だろう。

オイラ的には、内容云々というよりユマ・サーマンの色っぽさに撃沈で、★★★☆☆。

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THE 有頂天ホテル

THE 有頂天ホテル

三谷幸喜の最新作をDVDで鑑賞。

いつも通り、固定シーンに登場キャラクターが入ってくる舞台畑出身の彼らしい独特の撮り方で、年末のホテルのドタバタ劇をこちらも彼らしくほのぼのとコミカル&シニカルに描いている。

よくもこんなに集めたなと思うくらい豪華キャストでエンターテイメント性も高いのだが、その出演者たちのエピソードをあれこれ詰め込みすぎていて、いまいち話にまとまりがない。

最後も終わりよければすべて良し的な強引な感じで、観終わったあとに気持ちが残らない。楽しいけどなんかお笑いのDVDを観ているような感覚でした。

前作、「笑の大学」が良かっただけにちょっと残念な感じで、★★☆☆☆です。

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ハッピー フィート

ハッピー フィート

前述の硫黄島からの手紙の際に予告編が流れていて、ペンギン好きとしては是非押さえておきたい映画。

予告編だけでどういう内容か察しがつく、よく言えばシンプル、悪く言えば内容の薄い映画っぽいが、それはそれでちょっと楽しみということでメモ。

ちなみに声優のクレジットに「ロード・オブ・ザ・リング」以来、影の薄いのイライジャ・ウッドの名前があったのもチト興味アリです。

3/17(土)から上映予定で、オフィシャル・サイトも凝っているので気になった方は是非チェックしてみて。

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硫黄島からの手紙

硫黄島からの手紙

仕事の合間を見つけてやっと観ることができました。

太平洋戦争末期の激戦地を舞台にした戦争映画なのですが、アメリカ映画にもかかわらず日本側の視点から過酷な戦場を描いた驚くべき作品。

感想としては、かつて日本映画でここまでしっかり太平洋戦争を描いた映画があったか疑問であるくらい、とにかく登場する玉砕覚悟で戦う日本兵等を「立派に」描いている。

この映画がアメリカで上映された(しかも、アカデミー4部門ノミネート!)と思うと本当に驚きです。

戦闘シーンは、制作にスピルバーグが参加しているだけあり、「プライベート・ライアン」、「バンド・オブ・ブラザーズ」同様、ハンディカメラを多用した戦場の恐怖感を感じさせるには十分なリアルな映像で、絶え間なく聞こえてくるヒュンヒュンっていう弾線の音がすごく怖い。

我々、戦争を知らない世代でもこの現実にあった出来事を想像、また感情移入できる様、戦闘シーンだけでなく軍隊という組織の軋轢、つかの間の人間臭さ、死んでいく兵、ボロボロの軍服・・・細かい部分まで抜かりなく描写されていて最後までどっぷり引き込まれました。

また、この作品は戦争映画だが「何故このような戦争が起こったのか」的な問題提起は一切なく、ただこのような事実があったことを丁寧に描きその後はある意味受け手に委ねているところもイーストウッド作品らしいと思った。

尚、オイラ的に出演者で光っていたのは、意外にも伊原剛志でした。誇り高いキャラクターだった役柄の影響もありますが、僕の中では彼は相当男を上げたと思います。二宮君は悪くないんだけど、ちょっと役柄的には若すぎた気がしました。

ちなみに世界の渡辺謙は、いつもどおり堂々とした迫力のある演技を披露。(アメリカ軍上陸直前の彼の「天皇陛下、万歳」は必見です)

あ、あと裕木奈江が出演していたのにもビックリしました。(引退したのかと思っていたのですがハリウッドで活動していたんですかね?)

評価は、とにかくアメリカ人でありながらこんな映画を撮ってしまうイーストウッドの懐の深さにただただ脱帽で、★★★★★。

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クラッシュ

クラッシュ

本年度アカデミー作品・脚本・編集賞を受賞した人間の本質を描いた群像劇で、監督・脚本はミリオンダラー・ベイビーの脚本も手がけたポール・ハギス。

毎日ニュースで見る痛ましい事件・・・それって誰もが持っている先入観や思い込み、そんな小さな気持ちのズレの連鎖により引き起こされるのではないか?

そんな私達が抱える問題を日常の視点から提起した作品。

人間は孤独で弱い存在で常にグループ(例えば人種・宗教・文化)に所属して安心していたい、そしてそのグループに所属しないものは異物として恐れ時に憎しみを抱いたりする。

ポール・ハギスはそんな孤独や恐れ、憎しみをフラットな視点で淡々と俯瞰する。ミリオンダラー・ベイビーでもそうだったが、人間の気持ちの動きや揺れを描くのがとても上手いと感じた。

また映画の舞台はその人種・宗教・文化の坩堝であるアメリカだが、この話はアメリカ特有の話ではなく我々日本人にとっても無関係なことではないと思った。

僕達も無意識うちになにかしらのグループに所属して生活している。それは学歴や会社、立場等だったりして、やはり様々な先入観や思い込みをもって人と接していると思う。

日本は銃社会じゃないので映画みたいに即悲惨な状況にはならないが、いじめ問題等思い当たる節がないといえば嘘だろう。

非常によく練られた脚本で見終わった後に深く考えさせられる映画でした。

★★★★★、見る価値アリです。

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コープス・ブライド

コープス・ブライド

DVDで鑑賞しました。

名作ナイトメアー・ビフォア・クリスマス以来となる鬼才ティム・バートンによるクレイ・アニメーションで、彼独特のブラック・ユーモアな世界観がよく出ている「らしい」作品である。

クレイ・アニメーションとは被写体が粘土を主な材料として作成されている作品のことで、CGではなく静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かして撮影するストップモーション・アニメーションという手法によって制作されていて、当然といえば当然だがCGとくらべ温かみと立体感を感じる。(とはいえ最近のCGもかなりスゴイですが)

感想としては奇想天外な映像は見ていて楽しくその想像力に脱帽するが、残念なことにストーリーとキャラクター設定が少々あまく、主役2人の状況・行動に感情移入することができない。

音楽も映像とマッチした絶妙なもので、映像作品としてはクオリティーが高いだけにホント残念です。

ティム・バートン好きなら見るべきだが、★★☆☆☆といったところでしょうか。

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ミリオンダラー・ベイビー

ミリオンダラー・ベイビー

昨日のテレビ放送を録画していたので鑑賞。

老トレーナー フランキー(クリント・イーストウッド)と前向きな女性ボクサー マギー(ヒラリー・スワンク)のとても切ないヒューマン・ドラマ。


前半は「ロッキー」ばりのボクシング話で、お互いに心に傷を持つ2人は共に理解・必要とし合いながら絆を強め、ついにはタイトル戦まで勝ち進む。

が、やはりただのボクシング話ではアカデミー4部門は取れないわけで、このタイトル戦で2人に悲劇が訪れる・・・

「人生」、「尊厳」、「幸福」そして「愛」とは何かを考えさせられる映画でした。

終盤にフランキーはマギ-に与えたゲール語(アイルランド語)のリング・ネーム「モ・クシュラ」の意味を彼女に教える。

「愛する人よ。あなたは、わたしの血だ」

その後、フランキーはその愛する人に対して究極の選択を迫られ、ある決断をし実行するのだが、その行為が善なのか悪なのかという判断は誰にも(おそらく神にも)できない。

人生は時にひどく孤独で、どんなに辛くても自分一人で決断し前に進まなくてはならない時がある。

また、この映画は「人生における幸福」を色で上手く表現している。

ボクシングが順風満帆な前半は影のある暗いトーンで、悲劇が起こった後は逆に光と白の明るいトーンで表現して、何が人生にとって幸せなのかを視覚的に訴えている。

映画のスパイスとなる「アイルランド」というテーマをマギーのローブのグリーンで表現したりもしていてそのあたりもぬかりがない。

見終わった後はしばらく黙り込んでしまうが、よく考えられてつくられていて後からボディブローのように効いてくる映画である。

ちなみに原作は主人公フランキーと同じ元カットマンだったF・X・トゥールが書いた短編小説で「テン・カウント」という短編集に収録されている。

ハッピーな映画ではないので皆にオススメというわけにはいきませんが、時には現実的な映画も観てみてはということで★★★★☆。

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亡国のイージス

亡国のイージス

テレビで放送していたので鑑賞。

漫画化された原作が週刊モーニングで連載されていてオイラはそれを読んでいたのだが、長い話を無理やり詰め込んだ感じが否めない中途半端な出来でした。

ストーリーもリアリティーを追求してるようでまったくリアルじゃない。この映画を鵜呑みにすれば「今の自衛隊はこんなにも情けないのか?」と頭にきて防衛庁に殴りこみに行きたくなるくらいだ。

だって、最新鋭のイージス艦が北朝鮮の工作員(中井貴一)にジャックされてしまうんですよ!?しかも、その工作員に退艦を命令されたら皆すごすごと船を降りて「日本人は素直だ」と言われてしまう始末。

船乗りにとって強制退艦は最も屈辱的なことなはずなのに!しかもそれが自衛隊員だなんていくらなんでもありえないだろ?

さらに工作員に協力する副艦長(寺尾聰)についてきた自衛隊士官達が工作員達が自決していく中、メソメソしてるシーンなんて情けなくて涙が出そうになった。

その副艦長(寺尾聰)の行動にも首をかしげる。自衛隊=国を裏切るような決断をしておきながら最後には「やっぱり間違ってたかも」と考えを改め、工作員の行動を阻止する。そんな中途半端な覚悟の男がこんな大それたことできるわけないでしょ。

事件を解決するべく奔走する首相&防衛庁の対応も釈然としない。全体として必死さがないし、最終的にイージス艦は沈んでしまうのだが、それで「ああ、よかった」みたいな雰囲気はないだろう。この船に一体いくらの税金が投入されていると思ってるんだ?

原作の「誇り、在りようがない国など守る意味はない」というテーマにも首をかしげる。「この国は戦後60年間、太平洋と東シナ海の間に浮かんでいただけだ」というが、著者は現代史を勉強しなおしたほうがいい。

そもそも「守るに値する国」ってどんな国なんだ。国民は何も考えていないみたいな表現があったが、その国民が汗水かいて稼いだ税金で自衛隊は運営されているのではないのか?

安倍晋三の掲げる「美しい国」じゃないが、日本をもっと誇りに思おうとかハッキリ言って大きなお世話である。

最近なんか愛国心を煽った「右向け右」的な話が多くてうんざりです。。。

話が脱線しました。。。

というわけで、見どころは主演の真田広之の演技くらいってことで★☆☆☆☆。

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ワールド・トレード・センター

ワールド・トレード・センター

社会派オリバー・ストーン監督が9.11をどのように描くのか楽しみにしていたのだが、「JFK」、「ニクソン」のような切れ味の鋭さはまったく感じられないヒューマンドラマ。

とはいえ映画として面白くないというわけではなく、未知の危機に直面した人間の心理描写、その危機を乗り越えるのはやはり家族愛といった普遍的なテーマを、彼らしい独特の暗めの撮影によるリアルな緊迫感で描いた良質のエンターテイメントに仕上がっている。

ニコラス・ケイジの演技も素晴らしく、イケメンじゃないんだけど”男の哀愁”って言うんですかね・・・引きつけるカッコよさがあります。

しかし、オイラ的にはやっぱりオリバー巨匠には9.11を、感動的なエンターテイメントとしてではなく、考えさせられる社会派ドラマとして描いてほしかったっス!

はっきりいって、この「バックドラフト」の延長線上のような作品は彼でなくても撮れると思う。

良い映画なんだけど、消化不良で★★☆☆☆。

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やりたいことはたくさんあるよ

リュック・ベッソン監督が引退を発表(eiga.com)

って、映画監督に引退とかあるのか?(スポーツ選手じゃあるまいし・・・)

まあ、以前から10本撮ったら引退すると公言してたらしく、その10本目の監督作品となる「アーサーとミニモイたち」(フランスで12月公開)が最終作となるそうです。

本人曰く、「自分の国民の役に立ちたいし、この地球の環境も守りたいし、貧困地域の環境をなんとかしたいと思っている。やりたいことはたくさんあるよ」とのことだが、別に監督業続けながらでもできそうな気もするが???

初期作品、結構好きだったので残念です。制作、脚本は続けるのかなぁ?

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