ミリオンダラー・ベイビー
昨日のテレビ放送を録画していたので鑑賞。
老トレーナー フランキー(クリント・イーストウッド)と前向きな女性ボクサー マギー(ヒラリー・スワンク)のとても切ないヒューマン・ドラマ。
前半は「ロッキー」ばりのボクシング話で、お互いに心に傷を持つ2人は共に理解・必要とし合いながら絆を強め、ついにはタイトル戦まで勝ち進む。
が、やはりただのボクシング話ではアカデミー4部門は取れないわけで、このタイトル戦で2人に悲劇が訪れる・・・
「人生」、「尊厳」、「幸福」そして「愛」とは何かを考えさせられる映画でした。
終盤にフランキーはマギ-に与えたゲール語(アイルランド語)のリング・ネーム「モ・クシュラ」の意味を彼女に教える。
「愛する人よ。あなたは、わたしの血だ」
その後、フランキーはその愛する人に対して究極の選択を迫られ、ある決断をし実行するのだが、その行為が善なのか悪なのかという判断は誰にも(おそらく神にも)できない。
人生は時にひどく孤独で、どんなに辛くても自分一人で決断し前に進まなくてはならない時がある。
また、この映画は「人生における幸福」を色で上手く表現している。
ボクシングが順風満帆な前半は影のある暗いトーンで、悲劇が起こった後は逆に光と白の明るいトーンで表現して、何が人生にとって幸せなのかを視覚的に訴えている。
映画のスパイスとなる「アイルランド」というテーマをマギーのローブのグリーンで表現したりもしていてそのあたりもぬかりがない。
見終わった後はしばらく黙り込んでしまうが、よく考えられてつくられていて後からボディブローのように効いてくる映画である。
ちなみに原作は主人公フランキーと同じ元カットマンだったF・X・トゥールが書いた短編小説で「テン・カウント」という短編集に収録されている。
ハッピーな映画ではないので皆にオススメというわけにはいきませんが、時には現実的な映画も観てみてはということで★★★★☆。
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