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父親たちの星条旗

父親たちの星条旗

クリント・イーストウッドが描く「硫黄島からの手紙」と対になる作品。

映画館で観れなくてジリジリしていたがやっとこさレンタル開始されたので早速鑑賞。


硫黄島で取られた1枚の写真から国家、戦争、それら翻弄される人々を、俯瞰的な視線で丁寧に描いていて戦争映画というよりは人間ドラマに近い印象を持ちました。

話としてわかり易かった「硫黄島からの手紙」に比べ、今作は過去と現在の時系列に加え登場人物も多く、彼らの関係を把握しないと物語の全体像をつかみにくいが、「クラッシュ」を書いた脚本のポール・ハギスが、彼らしいよく計算された客観的な描写で見事にわかり易く描いている。

国家やイデオロギーという巨人の前では、人間の尊厳ましては個人なんて何の意味も持たない。それが戦争という非常時ならなおさらのことである。

疑問を持ちながらも英雄扱いされ大騒ぎされた3人の末路は、信じられないくらい平凡でうち2人はむしろ哀れな人生で終わってしまう。ようは彼らは国家に単なるビジネスの道具として祭り上げられただけなのだ。

皆が狂っている中、自分だけまともではいられない。国家や戦争という大きな流れに飲み込まれたら、個人ではどうすることもできないのだ。そういう非情な現実を突きつけられる映画でした。

ちなみに「硫黄島からの手紙」との関連性に関しては、それぞれの映画が伝えたいテーマは異なり、個人的には別々の映画としても観れると思いました。

が、当然多少は話のつながりがあるので、これから観る方は「星条旗」→「手紙」の順番で観ることをオススメします。

最後に評価ですが、脚本も素晴らしくよくできた映画だが、やはり戦争がテーマで万人受けではないので★★★★☆とします。


父親たちの星条旗

132分/カラー/アメリカ/2006年
監督: クリント・イーストウッド
原作: 「硫黄島の星条旗」ジェームズ・ブラッドリー/ロン・パワーズ(文春文庫)
脚本: ポール・ハギス/ウィリアム・ブロイルズ・Jr
音楽: クリント・イーストウッド
出演: ライアン・フィリップ/ジェシー・ブラッドフォード/アダム・ビーチ/ジェイミー・ベル/バリー・ペッパー /ポール・ウォーカー

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