硫黄島からの手紙
仕事の合間を見つけてやっと観ることができました。
太平洋戦争末期の激戦地を舞台にした戦争映画なのですが、アメリカ映画にもかかわらず日本側の視点から過酷な戦場を描いた驚くべき作品。
感想としては、かつて日本映画でここまでしっかり太平洋戦争を描いた映画があったか疑問であるくらい、とにかく登場する玉砕覚悟で戦う日本兵等を「立派に」描いている。
この映画がアメリカで上映された(しかも、アカデミー4部門ノミネート!)と思うと本当に驚きです。
戦闘シーンは、制作にスピルバーグが参加しているだけあり、「プライベート・ライアン」、「バンド・オブ・ブラザーズ」同様、ハンディカメラを多用した戦場の恐怖感を感じさせるには十分なリアルな映像で、絶え間なく聞こえてくるヒュンヒュンっていう弾線の音がすごく怖い。
我々、戦争を知らない世代でもこの現実にあった出来事を想像、また感情移入できる様、戦闘シーンだけでなく軍隊という組織の軋轢、つかの間の人間臭さ、死んでいく兵、ボロボロの軍服・・・細かい部分まで抜かりなく描写されていて最後までどっぷり引き込まれました。
また、この作品は戦争映画だが「何故このような戦争が起こったのか」的な問題提起は一切なく、ただこのような事実があったことを丁寧に描きその後はある意味受け手に委ねているところもイーストウッド作品らしいと思った。
尚、オイラ的に出演者で光っていたのは、意外にも伊原剛志でした。誇り高いキャラクターだった役柄の影響もありますが、僕の中では彼は相当男を上げたと思います。二宮君は悪くないんだけど、ちょっと役柄的には若すぎた気がしました。
ちなみに世界の渡辺謙は、いつもどおり堂々とした迫力のある演技を披露。(アメリカ軍上陸直前の彼の「天皇陛下、万歳」は必見です)
あ、あと裕木奈江が出演していたのにもビックリしました。(引退したのかと思っていたのですがハリウッドで活動していたんですかね?)
評価は、とにかくアメリカ人でありながらこんな映画を撮ってしまうイーストウッドの懐の深さにただただ脱帽で、★★★★★。
141分/カラー/アメリカ/2006年
監督: クリント・イーストウッド
製作: スティーブン・スピルバーグ/ロバート・ローレンツ
脚本: アイリス・ヤマシタ/ポール・ハギス(共同原案)
出演: 渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加瀬亮/中村獅童/裕木奈江/松崎悠希