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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズを映画化した第5弾。

まず、このシリーズは本を読んでいない人にとってはまったく面白くない(話が解らない)し、映画自体も受け手が原作を読んでいる前提で作っている。

つまり、本を読んでいるファンが原作の魔法社会という奇想天外な世界を映像化するとどうなるのかという事を楽しみにして観る作品なのだ。

そういう意味では、前作「炎のゴブレット」のクディッチ・ワールドカップや、今作の神秘部の映像等、このシリーズは本を読んでいる時の想像を裏切らない期待通りの映像化に成功していると思う。

もはや、原作を読む時は「ハリー=ラドクリフ君」を想像しながらになるくらい僕の中では定着している。

とはいえ、昨今の原作のページ数の増加、さらに話自体がもはやファンタジーとは呼べない次元になってきた事にともない、映画1本分の尺に収めるのは少々厳しくなっている感は否めなく、正直原作を読んでいる人にとっても解りにくい作品になってしまった。

また、基本的にキャスティングに大幅な変化がないこのシリーズは、どうしても見た目のマンネリ化が避けられず、ロン、ネビル、マルフォイなどはまったく地味な存在になってしまった。

そんな中で、今作のアクセントとして効いているのが、新しいキャラクターであるルーナ・ラブグッドとドローレス・アンブリッジの存在である。

特にルーナ役のイヴァナ・リンチはかなりキュートで、原作よりもかなり大きく扱われ、正直ハーマイオニーより目立っているくらいで、これは目新しさと画面映えを考慮した意図的なものだとうかがえる。

また、終盤のダンブルドアとヴォルデモート卿のの戦いなどは、原作にはないスターウォーズばりの大見せ場に仕立て上げ、ここでも映画としてのエンターテイメントを演出しようとする制作側の努力が感じられる。

今後は、原作の内容が終盤に向かい映像化しやすいファンタジーから、より細かい描写や演技を必要とするエモーショナルな人間ドラマに移行している中、次回作で重要人物になるマルフォイやジミーの扱い等、「賢者の石」を映画化した時点では、想定していなかった色々な歪みをいかにクリアしていくかがポイントになりそうだ。

ちなみに、評価は原作を読んでいる人は観て損はないというレベルで★★☆☆☆。


ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

138分/カラー/アメリカ/2007年
監督: デヴィッド・イェーツ
原作: 「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」J・K・ローリング(静山社)
脚本: マイケル・ゴールデンバーグ
音楽: ニコラス・フーパー
出演: ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/イヴァナ・リンチ/マイケル・ガンボン/アラン・リックマン/イメルダ・スタウントン/レイフ・ファインズ/ゲイリー・オールドマン/エマ・トンプソン

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